【転職・入社】金融機関への入社前に証券口座の確認を(FxやNISA口座)
本記事は、
* 投資に興味があり、既に取引を行っている方
向けのニッチな記事になります。
金融機関で働く
金融機関での勤務はどのようなイメージを持たれるのでしょうか。 お堅いイメージ、安定した給与水準、保守的な文化、古いシステム …など思い浮かべるかもしれません。
割合としては大体そのような企業が多いような気がします 笑
身につくスキル
金融機関での勤務は、実務経験を通して経済や金融市場への理解が深まるという点ではメリットになります。
銀行の融資担当であれば多くの企業の財務諸表を見る機会もあるでしょうし、 証券会社であれば金融市場や経済動向について常にアンテナをはることになるのでしょう。
これらはビジネスパーソンとして必須のスキルです。
今や人生100年時代。業界を離れた後や退職後に、これらのスキルを活かして投資生活や起業に活かせるかもしれません。
入社前に知っておくべきこと
一方で、金融機関への入社前に知っておくべき内容もあります。
多くの方は給与水準や社風、離職率等については事前に調べていると思いますが、 今回は、別の視点から新卒者・転職者が入社前に見落としがちなポイントをご紹介したいと思います。
金融機関で働く人には取引制限がある
金融機関はその業務の性質上多くの制約があり、従業員も金融取引に関する多くのルールを遵守しなければなりません。
また、金融機関と言っても、銀行・証券・生損保など取り扱う業務や日本証券業協会の加入ステータスにより規制が異なることに加え、金融機関毎に社内独自の法令遵守(コンプライアンス)ルールがあります。
既にFxや投資信託に投資をしていないか
多くの方は、金融機関で働いている人は株式の売買ができないことは認識しているのではないでしょうか。
しかし外国為替証拠金(Fx)取引や、投資信託の売買に一定の制限をかけている金融機関があるのは知らない方もいるのではないでしょうか。
こんな場合は要注意!?
例えば、ある金融機関では従業員に対してFxのポジションを持つことを禁じており、入社前にポジションを全て精算しなければならないとしている場合があります。
過去に大きく評価損を出しており、売るに売れず、ずるずると保有しつつけ塩漬けになっている。このような場合であっても入社前には損失を確定させなければいけません。 内定承諾後、入社手続き資料を見て初めて知るものの時すでに遅し…いうことになりかねません。
その他の例としては、従業員の投資信託の売買に一定のルールを設ける金融機関もあります。 例えば投資信託の売買はできますが、売買は自社グループ会社の証券口座を使用する場合のみ、というようなケースです。
やっかいなのはNISA口座
NISA口座自体はメリットが多い
NISAはNippin Indivisural Savings Accountの略になります。2014年から適用開始された、投資から得られる利益が非課税となる税優遇制度です。
NISAには年間120万・最長5年間投資できるNISA口座と、年間40万・最長20年間投資できる積立NISA口座があります。個人はどちらかの口座を選択することになり、両方の口座を保有することはできません。
詳細は割愛しますが、NISAは1人につき一口座しか持てないことがポイントです。
最近では豊富なラインナップを持つ楽天証券やSBI証券のようなネット証券でNISA口座を開設した方も多いのではないでしょうか。
取引できなくなるケース
例えばある方がネット証券などの積立NISA口座を活用して毎月積み立てており、その後ある証券会社Aに転職したとします。
その証券会社Aが従業員に対し、他社の証券口座を使った投資信託の売買を禁止している場合、その方は今後既存の積立NISA口座を使った積み立てはできません。
既存のNISA口座を変更するしかない?
入社後もNISA口座での運用を続けたい場合、既存のNISA口座を解約し、転職先企業が許可している金融機関で改めてNISA口座を開設するしか方法は無さそうです。
これにより、いくつかのデメリットが発生します。
NISA口座変更のデメリット①
デメリットの一つはこれまで積み立てた非課税枠での積立額を別の口座に移管することになるため、非課税枠としての積立額はゼロになってしまうことです。
積立期間が長い方ほど影響も大きいため注意が必要です。
NISA口座変更のデメリット②
変更する年に一度でもNISA口座枠を使って投資している場合、新たなNISA口座は翌年からしか開設できません。
例えば2020年1月に積立NISA口座を使った買い付けを行い、2月に転職し、社内ルールによりNISA口座を使った投資ができなくなったとしても、新NISA口座は2021年の1月からしか開設ができないのです。
結局は各企業のコンプライアンス・ルールを確認しなければならない
本記事では「金融機関に勤める方」というざっくりした括りで記載をしました。
トレーダーのように市場取引を行う者や、個別企業を調査するアナリスト、財務担当者、投資担当者などは特に厳しい制限があります。 一方で、生保の個人向け営業担当者など社内で機微情報に触れない業務についている方は取引ができるのかもしれません。
いずれにしても結局は各企業の社内ルールを確認しなければなりません。 転職者は配属先は分かっているはずですので、選考段階からエージェントを通して転職先のコンプライアンス・ルールを確認しておくことをおすすめします。
まとめ
* 転職時は、給与や仕事内容、労働環境に注意が向きやすく、転職先のFxや投資信託等の投資制限の確認については見落としがち
* 転職先で証券口座を使った取引が禁止されている場合、既存のNISA口座の取り扱いについては要注意。
*NISA口座を変更する場合、積み立てた非課税の運用枠はリセットされる。